Mynavi Will
世界の課題を解決するために、マイナビの価値・ブランドを海外へ。「グローバル経営戦略室」は海外現地をリスペクトし、ともに事業開発を

より多くの機会をつくるためにグローバルへ展開することは、企業が成長を続けていくための選択肢の一つだ。マイナビも2017年から、海外企業への出資・事業提携を進めてきたが、2023年には「グローバル経営戦略室」を設立し、より積極的に世界に歩を進めている。そのリーダー役を担うグローバル経営戦略室 室長・三宅真悟にマイナビが海外でどのような取り組みを行い、何を目指しているのかを聞いた。
マイナビの“一人ひとりの可能性と向き合い、社会課題に取り組む姿勢“は、海外に出ても変わることがない

マイナビの歴史の中で、一部海外向けのサービス展開もしていたものの、あくまでも主力は国内向けの事業だった。
その培ってきたノウハウとリソースを活かして海外の社会課題解決に向き合っていくことになり、本気で海外に展開していこうという動きがでてきたのは2017年のことだった。
「当初は現地調査もかねてスモールスタート※で経験値を積みました。本格化したのは2023年。マイナビが50周年を迎えるに当たって、パーパスである『一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。』を実現するために目指すべき姿を中長期で見つめ直しました。その中で、本気で海外に出て行こうという機運が高まっていったのです。今後は海外現地の社会課題の解決に向けたビジネスに取り組む。そしてマイナビの価値、ブランドを世界展開するという流れは、マイナビの中長期の戦略を考える上でも、必然だったのだと思っています」
※スモールスタートとは:新しい事業やプロジェクトを最小限の機能や投資から始めるアプローチのこと
2017年のスタート時から海外事業に関わっていた三宅は、2023年の「グローバル経営戦略室」発足時に室長に就任。現在マイナビグループは5カ国11拠点(駐在所・現地法人含む。三宅の管轄拠点のみ)でビジネスを展開している。現地の社会課題の解決とは、具体的にはどんな事業になるのだろうか。
「マイナビのサービスは様々ですが、その中でも特にHR領域を海外事業の主軸としました。海外の労働人口や需給バランス、企業の成長性は日本とはずいぶん違いますし、国によってもステージの異なる課題があります。その各々の課題に向き合っている現地のHR関連優良企業に出資。マイナビの培ってきた人材採用や経営課題解決のノウハウ、そのリソースを最大限活かして、ともに事業開発を行っています」
現地にマイナビ社員を送り、拠点を作って共に取り組む。マイナビの本気は現地へのリスペクトにある

本質的な海外現地課題を解決するビジネス展開ができるのは、2017年からの取り組みの積み重ねがあったからこそだと三宅は語る。
「現地の社会課題というものは、ただネットで調べたり、短期間出張で行ったりするだけでは本当のところは見えてこないと思います。実際現地に赴任して生活し、自分の足で情報収集をし、現地の人々と密にコミュニケーションすることで得られるものは多い。その点でも、まだ見通しの立っていない段階から現地へ飛び込み、ゼロベースからローカル企業や大学・公的機関と関係を築き、現場のリアルな商習慣を理解してきたメンバーがいたからこそ真に社会課題と向き合うことができています。厳しい環境で挑戦を続けてくれているメンバーと、背中を押してくれた経営陣には大変感謝しています」
より大きなマーケットを求めて海外に進出する企業は多い。しかし、リスクとコストを考えれば、その熱に高低が生じるのは当然だろう。マイナビが海外現地に人を送り真摯に現地を理解しようとする姿勢。その“本気”が伝わったという手応えは確かにあったと三宅は言う。
「あるグループ会社の事例です。マイナビグループに入っていただくにあたって、ソフトウェア開発はグループ会社、マイナビはその営業をするというビジネスモデルにしました。当初、売り上げは順調に伸びていったため、先方は人員を増やしたのですが、今度はマネジメントが追いつかなくなってしまいました。それまでの社員規模より多くの人材を急にマネジメントする必要があり、組織の成長が追い付かなかったのです。収益に影響が出たため、改善策が必要でした」
そこで三宅は、それまでグループ会社側に任せていた海外開発部門にもマイナビの社員を置き、徹底的に話し合ったという。そんな局面で三宅が心に留めていたのは“リスペクト”だった。
「マイナビが現地に拠点を作り、人を送ったのはまず、人間関係を築いていくためです。海外には、マイナビとビジネスモデルが似ている会社は多いので、“マイナビ流”と適合するケースも多いのですが、“押しつけ”になってはいけない。私が大事に思っているのは現地のルール・商習慣、現地企業の強み、そして経営陣の思いです。それに対するリスペクトを決して忘れまいと思っています。彼らがこれまでやってきたことを最大限尊重しつつ、彼らとマイナビの将来目指す姿、その戦略などを突き詰めて、目線をそろえて伴走していくのが大事なのではないでしょうか。その上で、成功するには足りないものも出てくるので、そこをマイナビがサポートできればうまくいくと考えています」
先ほどの事例では、グループ会社側が開発で優先していたのは“いかに早く作るか”であったのに対し、マイナビが介入することで、早く作るスピード感を大事にしつつ、質の高いもの、生産性の高いものを実現することができた。
「文化、生活習慣、国民性、違いはいろいろあり、衝突が起きることもありますが、根底にもつべき思想は相互のリスペクトです。経営層同士、現場同士、相互のコミュニケーションの全てにおいて相手を尊重することを大切にしています。お互いに社会課題解決に向けて高みを目指しつつ、成長に足りないところは補い合う。そういった形で進めていった結果、両社の連携サイクルがうまくまわるようになって2024年に会社で表彰されるほどの実績を残すことができました」
メンバーの人間力、やりきる力がビジネスを成功に導く

2017年からのマイナビの海外への歩みには、コロナ禍による困難な時期もあった。深刻な状況に耐え、現地の人々と密にコミュニケーションを取りながらビジネスを進めてきたマイナビのメンバーを、三宅はどのように評価しているのだろうか。
「この事業を立ち上げるにあたって、取締役常務執行役員の吉田さんが“マイナビがいよいよ本気で海外に出る”と社内プレゼンをしたのですが、それを聞いて手を挙げたメンバーがほとんどですので、メンバーのモチベーションはとても高いです。それまで慣れ親しんだ事業部を離れ、どうなるかがまだ見えていない海外へのチャレンジをあえて選ぶのですから、当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、主体性や責任感も高い。そして、マイナビの強みだと思いますが、やりきる力が強いですね。みんな、人としての魅力にも溢れているので、海外に行っても現地の方々からの信頼も厚いのだと思います」
そんなメンバーのチャレンジ精神に支えられ、2023年の「グローバル経営戦略室」発足から2年、マイナビの海外展開は新たなフェーズに入りつつあると三宅は言う。
「今までいろいろな失敗もしましたが、その過程でステークホルダーの皆さまにも“たとえ失敗しても、それを活かせば良い”と励ましていただいて、ここまできました。感謝しております。ここからは一歩進んで今までの経験を活かし、責任感を持って我々のやるべきことを実践するフェーズです。私も現メンバーと共に海外の社会課題解決、マイナビの企業価値向上に向けて挑戦していきます」
(まとめ)
マイナビのグローバル戦略は三宅の話す“HR領域をメインとした海外現地社会課題の解決“である。それを実現するためにマイナビが今まで日本で培ってきたノウハウ・資産を活かし、海外現地への“リスペクト”を示す。そして海外の人々と同じ目線に立ち、同じ目標に進む。結果、現地企業の強み、マイナビの強み、両者の相乗効果がおき、好循環が生まれているようだ。
(profile)
三宅真悟
株式会社マイナビ 執行役員 グローバル経営戦略室 室長
2005年、HRコンサルティング事業からキャリアをスタート。その後全国のパートナーシップ推進に携わり、2009年からは転職サイト「マイナビ転職」のパートナーサクセス、事業企画部門の責任者として従事。2017年からはグループ経営部門に回り、グループ企業の経営企画及び、海外のM&Aを経験。2022年に買収先子会社「NAL solutions(現Mynavi TechTus Vietnam)」(ITオフショア)と連携する事業化したDXデザイン事業部長に就任。それらの経験を経て2023年にグローバル経営戦略室を立上げ、海外M&A事業責任者として従事している。
【取材・文:定家励子(株式会社imago)】
【写真:吉永和久】


