株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、20-50代の正社員のうち、2024年10月に転職活動を行った人と、今後3カ月で転職活動を行う予定の人計1,369人を対象に実施した「2024年冬ボーナスと転職に関する調査」の結果を発表しました。
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【TOPICS】
◆約2人に1人は、「賞与が少ない」ことを理由に転職をしたことがある【図1】
◆理想の冬の賞与額は平均87.3万円で、現実とのギャップは約37万円。6割以上が今年の冬の賞与額について「物価高を考慮した額だと思わない」と回答【図2、3】
◆2人に1人以上が「前年もらった冬の賞与額に納得していない」。納得感がない理由は「評価へのフィードバックがない」「正当に評価されていない」など【図4、5】
◆賞与額に対して「フィードバックはない」人は52.6%と半数以上。賞与の納得感は、「賞与額」ではなく「フィードバックの有無」と相関がある【図6、7】
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【調査概要】
◆約2人に1人は、「賞与が少ない」ことを理由に転職をしたことがある
賞与が少ないことを理由に転職をしたことがある人は49.2%(「1番大きな転職理由だった」21.4%+「1番ではないが転職理由だった」27.8%)となり、転職理由となった人の賞与の平均額は30.8万円だった。年代別では20代で、「1番大きな転職理由だった」が30.6%とほかの年代と比べて高く、20代は賞与額の少なさが転職の理由になる傾向があるようだ。
【図1】
◆理想の冬の賞与額は平均87.3万円で、現実とのギャップは約37万円。6割以上が今年の冬の賞与額について「物価高を考慮した額だと思わない」と回答
今年予想している冬の賞与額は平均50.4万円で、生活に必要最低限だと思う冬の賞与額は平均53.7万円となっており、その差は3.3万円だった。また、自分の仕事に見合う理想の賞与額は平均87.3万円となり、予想賞与と理想の賞与の差は36.9万円だった。【図2】
今年の冬の賞与額について、「物価高を考慮した額で支給されると思うか」聞いたところ、もっとも多かったのは「そう思わない(32.7%)」となり、「あまりそう思わない(28.7%)」と合わせると6割以上が賞与額に物価高が考慮されないと考えていることがわかった。【図3】
【図2】
【図3】
◆2人に1人以上が「前年もらった冬の賞与額に納得していない」。納得感がない理由は「評価へのフィードバックがない」「正当に評価されていない」など
前年もらった冬の賞与額に納得感があるかどうか聞いたところ、「納得していない」は51.3%(「あまりそう思わない(29.0%)」+「そう思わない(22.3%)」)となり、半数以上だった。直近の評価に対しての納得感についても、「納得していない」は56.1%(「あまりそう思わない(31.9%)」+「そう思わない(24.2%)」)で、半数以上となっている。これら2つの値には0.736の強い相関※が見られ、賞与に納得していない人は評価にも納得してない傾向にあることがわかった。【図4】
賞与額への納得感がない理由としては、「評価へのフィードバックが無い」「正当に評価されていない」などの回答が目立った。一方で、納得感があると答えた人の理由は、「上司からのフィードバックに納得感があった」「会社の業績についての説明がきちんとあった」などの声が挙がった。【図5】
評価の高低に関わらず、丁寧に評価や賞与額に関する説明の場を設けることで、納得感が生まれるケースもあるようだ。
※2種類のデータ間の関連性(相関関係)の強さを示す指標。「1」「-1」に近いほど相関関係は強くなり、「0」に近いほど相関関係がないと判断されている。
【図4】
【図5】
◆賞与額に対して「フィードバックはない」人は52.6%と半数以上。賞与の納得感は、「賞与額」ではなく「フィードバックの有無」と相関がある
評価制度で個人に差をつける場合、全員が納得する評価を下すことは非常に困難であると考えられる。しかし評価の高低に関わらず、「説明の場」を設けることで納得感が生まれているケースが見られたため、ここからは「賞与の納得感」と「フィードバックの有無」についての関係をみていきたい。
「賞与額に対するフィードバック」有無について、もっとも多かったのは「フィードバックも結果の共有もない(32.5%)」で、次いで「簡易的なフィードバックがある(28.5%)」となった。「フィードバックがない」と答えた人は52.6%(「フィードバックは無く、結果のみ知らされる(20.1%)」+「フィードバックも結果の共有もない(32.5%)」)で、多数派となった。「賞与の納得感」と「フィードバックの有無」の相関係数は0.504となり、フィードバックの有無は賞与への納得感に影響しているようだ。
年代別でみると、若年層ほどフィードバックを受ける機会が多いことから、賞与額への納得感も高い傾向がみられた。【図6】
また、「賞与の納得感」と「賞与額」についての相関係数は0.175とほぼ無関係であり、賞与額が高ければ納得感も高いというわけではないことがわかる。生活に最低限必要な賞与額の水準は満たされるべきであるが、それ以上に関してはフィードバックの有無が納得感に関係していると考えられる。【図7】
【図6】
【図7】
【調査担当者コメント】
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2024年9月の実質賃金はマイナスとなっており、物価の上昇に対する賃金の推移に注目が集まっています。
今回の調査では、約2人に1人以上が賞与額の少なさを理由に転職した経験があることが明らかになりました。特に20代は、ほかの年代と比べて賞与額の低さが転職の大きな要因となっている傾向にあります。大幅な賞与の増額が難しい場合でも、生活に最低限必要な水準が満たされるよう、企業側には賞与金額の増額が求められていると考えられます。一方で、増額が難しい場合であっても、賞与額への納得感は高められる可能性があることが明らかになりました。
調査結果からは賞与額に対する納得感は、フィードバックの有無と関連していることがわかりましたが、その一方で「フィードバックを受けていない」人は半数以上という結果でした。
今後、企業が従業員の賞与への納得感を高めるためには、フィードバックのルール化とその実施が不可欠になるのではないでしょうか。特に管理職層の負担軽減を図りつつ、公平で透明性のある評価制度を構築することが求められます。これにより、従業員のモチベーション向上と企業全体のパフォーマンス向上が期待できるでしょう。
キャリアリサーチラボ 研究員 朝比奈あかり
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「2024年冬ボーナスと転職に関する調査」
【調査期間】2024年11月1日(金)~4日(月)
【調査対象】
・スクリーニング調査:従業員数3名以上の企業に所属している全国の20-50代の正社員
・本調査:上記のうち、前月転職活動を行った人、今後3カ月で転職活動を行う予定の人(3カ月以内に中途入社した人を除く)
【調査方法】外部パネルによるインターネット調査
【有効回答数】スクリーニング調査 31,924件 本調査 1,369件
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