株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国の企業、個人それぞれを対象に実施した、「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(22年5-6月)」の結果を発表しました。

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《TOPICS》

◆企業における非正規雇用者の求人ニーズは前年比で増加した一方で、求職ニーズは横ばい。アルバイトの求職ニーズが最も減少している職種は[飲食・フード]【図1、2】

◆10月の最低賃金の改定率予想は、企業・個人ともに「据え置き(変わらない)」が約半数。企業の6割弱は「据え置き(変わらない)」を希望【図3、4】

◆非正規雇用者の待遇改善について、「企業が今後積極的に行うもの」「個人が働く意欲が上がるもの」はいずれも「時給単価アップ(賃金ベースUP)」が最も高い【図5、6、7】

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<求人ニーズ・求職ニーズ>

22年5-6月の企業における非正規雇用者の「求人ニーズ(非正規雇用者の採用活動を行った企業の割合)」は22.2%(21年5-6月比:+3.7pt)、一方で、個人における非正規雇用の「求職ニーズ(非正規雇用の仕事を探した人の割合)」は16.2%(21年5-6月比: -0.6pt)で、「求人ニーズ」が「求職ニーズ」より6.0pt高くなった。特に22年に入り、企業の「求人ニーズ」は増加傾向であるが、それに比べ個人の「求職ニーズ」は横ばい程度で推移し、その差は6pt程度となっていることから、企業の人手不足感が高まっていると考えられる。【図1】

 

アルバイトの求人・求職ニーズの高い職種をみると、それぞれ[オフィスワーク]が最も高く、「求人ニーズ」は22.0%(22年3-4月比:-3.2pt、21年5-6月比:-1.4pt)、「求職ニーズ」は29.0%(22年3-4月比:-0.9pt、21年5-6月比:+3.0pt)となった。

 

求人ニーズが高い職種としては[医療・介護・保育]の21.5%(22年3-4月比:+5.1pt、21年5-6月比:+5.5pt)で22年3-4月比、21年5-6月比ともに5pt以上増加しているが、求職ニーズは22年3-4月比、21年5-6月比ともに1pt未満の微増程度となっている。[飲食・フード]の求人ニーズも回復傾向で、14.0%(22年3-4月比:+3.6pt、21年5-6月比:-0.7pt)となったが、求職ニーズをみると22年3-4月比、21年5-6月比ともに減少しており、[医療・介護・福祉][飲食・フード]では、特に人手不足感が高まっていることが考えられる。【図2】

 

【図1】非正規雇用における、企業の求人ニーズと個人の求職ニーズの推移

 

【図2】企業が採用活動をした・個人が求職活動をしたアルバイトの職種TOP10(複数回答)

 

<最低賃金改定率>

政府の方針として「年3%の最低賃金引き上げ目標」や、諸外国を参考に全国平均時給1,000円の早期実現を目指しているが、10月の最低賃金改定率の予想を企業・個人の双方に聞いたところ、企業の予想では「据え置き(変わらない)」が50.2%で最も高く、次いで「1%以上~2%未満の上昇」が13.6%、「1%未満の上昇」が11.5%となった。また、個人の予想でも「据え置き(変わらない)」が48.2%で最も高く、企業・個人ともに半数程度が「据え置き(変わらない)」予想となった。

 

企業・個人それぞれが希望する改定率をみると、企業の希望では「据え置き(変わらない)」が56.4%で最も高く、特に[飲食・宿泊]では70.0%(全体比:+13.6pt)が据え置きを希望している。一方、個人では「4%以上の上昇」の希望が最も多く42.8%で、性・年代別では「男性50-59歳 51.9%(全体比:+9.1pt)」が最も望んでいることがわかった。【図3、図4】

企業・個人ともに半数程度が最低賃金は前年と変わらないと予想し、かつ企業においては6割弱が据え置きを希望していることからも、10月に行われる最低賃金改定による大幅な引き上げの期待感は低いことがうかがえる。

 

【図3】<企業>最低賃金改定率の予想と企業としての希望

 

【図4】<個人>最低賃金改定率の予想と個人としての希望

 

<非正規雇用者の待遇改善>

企業に対し非正規雇用者の待遇改善について今後積極的に行うものをきいたところ、「時給単価アップ(賃金のベースUP)」が52.4%と最も高く、次いで「業務範囲の明確化」が50.1%、「有給や育休など、休日・休暇制度の拡充」「職務責任の明確化」が同率で49.1%という結果だった。【図5】

 

また、「時給単価アップ(賃金ベースUP)」を積極的に行う企業を業種別にみると、[小売]が64.7%(全体比:+12.3pt)と最も高く、次いで[建設]58.4%(全体比:+6.0pt)、[飲食・宿泊]54.3%(全体比:+1.9pt)となった。【図6】

 

一方で、非正規雇用の求職者に対し、働く意欲が上がる待遇改善の要素をきいたところ、「時給単価アップ(賃金ベースUP)」が59.9%で最も高く、次いで「賞与の支給(寸志・特別報奨金含む)」が54.2%、「定期昇給」が51.3%で、上位3項目はいずれも賃金関連となった。【図7】

 

10月に行われる最低賃金改定での大幅な引き上げについては消極的にみえた企業だが、今後積極的に時給単価をアップしていくという方針もうかがえた。賃金が上がることは個人の働く意欲を高め、企業の人手不足感解消・生産性向上にもつながると考えられるため、改定時期とは別で企業独自の賃上げに対する動きが期待される。

 

【図5】企業が考える非正規雇用者の待遇改善として、今後積極的に行うもの

 

【図6】企業が非正規雇用者の待遇改善として、今後積極的に行うもの(業種別)

 

【図7】個人が思う非正規雇用者の働く意欲が上がるもの

 

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【調査概要】「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(225-6月)」

○調査期間/企業:2022年7月1日(金)~7月4日(月)個人:2022年7月1日(金)~7月5日(火)

○調査方法/WEB上のアンケートフォームより入力

○調査対象/

<企業>

スクリーニング調査:従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の採用方針を把握している人

本調査対象:上記のうち、自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握しており、直近2カ月以内に採用活動を行った又は新規採用を行った人

<個人>

スクリーニング調査:全国の15-69歳の男女(中学生を除く)

本調査:全国の15-69歳の男女(中学生を除く)のうち、直近2カ月以内に非正規雇用の仕事探しをした人

○有効回答数/

企業…スクリーニング調査:16,500名 本調査:932名

個人…スクリーニング調査:15,972名 本調査:1,529名

※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります

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