約8割の学生が採用スケジュール変更は、マイナスの影響が大きかったと捉える結果に。企業は、学生の企業理解不足や内定辞退の増加に対する積極的な対策が必要


株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中川信行)は、2016年卒業予定学生を対象とする、企業の採用状況と学生の就職活動状況、今後の見通しなどをまとめた「2015年度(2016年卒)新卒採用・就職戦線中間総括」を発表しました。2016年卒新卒採用の特徴は以下の通りです。

 

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※「2015年度(2016年卒)新卒採用・就職戦線中間総括」の詳細は、『採用サポネット』(http://saponet.mynavi.jpで公開しています。

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【2016年卒の採用環境】

2016年卒採用から、広報活動開始時期を3月1日以降、採用選考活動開始時期を8月1日以降へ採用スケジュールが変更となり、新卒採用市場は大きな転換期を迎えた。また、ここ数年続く正社員の不足感は深刻さを増し、良好な景況感から新卒の採用意欲は年々高まっている。

 

【TOPICS】

▽ 約8割(79.3%)の学生が採用スケジュール変更は、マイナスの影響が大きかったと捉える結果に

今年の採用活動時期変更が自分たちの就職活動に及ぼした影響について聞いたところ、全体の約8割(79.3%)の学生がマイナスの影響が大きかったと捉えていることがわかった。主な理由としては、「暑い時期に活動しなければならなかった(60.5%)」「卒業年次の学業(卒業論文・卒業研究)の妨げになった(55.7%)」という結果になった。また、理系学生を教える教員の8割超(83.4%)が就職活動の時期変更で悪い影響があったと回答した。主な理由として、「卒業研究や修士論文への悪影響が多かった(79.8%)」などがあげられた。

 

採用活動時期のルール変更の影響

HP1

 

マイナスに働いたと思うポイント(複数回答)

HP2

 

 

▽ インターンシップは広報活動開始直前の2月(冬季)の実施が盛況。学生の参加率・参加社数も大幅増

スケジュール変更により、初めて広報活動開始直前の2月(冬季)がインターンシップ(以下IS)のピークとなった。企業の動きに応えて学生の参加割合も、約6割(58.2%)と前年の約3割(32.7%)から大幅に増加した。準備期間が長く余裕をもって参加することができたため、夏・秋・冬の参加社数の平均は、「1社」が前年7割程度(68.6%)だったのに対し、今年は「2社以上」の参加が約6割(58.8%)と大幅に増える結果になった。また、ISに参加した企業の採用選考を受けた学生は前年比11.0pt増の6割以上(62.7%)となった。

 

インターンシップ実施時期

HP3

 

インターンシップ参加社数

HP4

 

 

▽ 従業員数5,000人以上の大企業は8月上旬に内々定出しを集中。複数内々定獲得学生の増加により、内定辞退率も上昇

学生のエントリーは3月に集中し、その後は急速に減少。活動6カ月目までのエントリー延べ平均社数は、前年に比べ35.4社減少した。また、個別の企業セミナーもスタートダッシュと言える勢いで、一人あたりの参加社数は、就職活動開始直後から2カ月目までは前年を上回り、前年比5.2社増の平均14.0社となった。

そして、実際の選考に入ると7月以前に選考を行う企業は、5月下旬から8月上旬に分散して内々定出しを行った一方、従業員数5,000人以上の大企業では、8月上旬に内々定出しが一気に集中した。これが、スケジュール変更に伴う2016年卒採用の最大の特徴と言える。選考を「7月以前」か「8月以降」に開始したかで対象的な様相となった。複数内々定を保有している学生数は、7月27.4%(前年同月21.8%)、8月37.8%(前年同月20.0%)と前年より増加した。今までになく、複数内々定を保有した状態で大手企業の内々定を獲得した学生が多いことから、例年に比べ内定辞退率が高くなっていると思われる。そのため、今後も企業の採用活動は継続していくと考えられる。

 

インターンシップに参加した企業の採用選考を受けたか

HP5

 

 内々定を獲得した時期・従業員規模別

HP6

 

複数内々定保有者の割合の推移

 

 HP7-1

 

▽ 2017年卒採用の展望は、2016年卒で生じた問題点への積極的な対応が鍵となる

2017年卒の採用活動も売り手市場は続くと予測できる。学生のエントリーなどの活動量がより減少することも予想される。そのため、「学生の企業理解不足」や「内定辞退の増加」に対して採用活動開始から入社に至るまでの間、「短期間での見極め(採用基準の見直し)」「速やかな意思決定(選考時における志望度アップ)」を促すコミュニケーションプラン設計が鍵となる。